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HTTPSって何?調整アイコンを付けるだけで離脱を防ぐ理由

1 はじめに──“https://”の5文字が信頼の入り口

ブラウザのアドレスバーでまず目に入る違いは、「http://」か「https://」かの1点です。
加えて多くのブラウザでは、アドレスバーに通信の安全性を示す表示(例:鍵アイコン/Chromeは2023年以降は調整(tune)アイコン)が出ます。これは「通信が暗号化され、安全に保護されています」というサインです。逆に言えば、表示が付かないページは「保護されていない」と明示されているのと同じです。

現代のブラウザは「保護されていません」などの警告をはっきり示すため、訪問者は内容を読む前に離脱してしまいます。離脱の原因がコンテンツではなくURLの見た目にあるなら、解決策はシンプル──HTTPS化です。

2 HTTPSが離脱を防ぐ3つのメカニズム

1 ブラウザ警告を排除し“第一印象”を守る
主要ブラウザはHTTPページに対し「保護されていません」等の警告表示を出します。ユーザーはサイトの品質を確認する前に警戒モードに入り、離脱を誘発します。HTTPS化することで、警告が消え、閲覧前の緊張感を一掃できます。

2 フォーム入力のハードルを下げる
予約フォームや問い合わせフォームでは名前・電話番号などの個人情報を扱います。HTTPS(TLS)で暗号化された接続なら、入力内容が第三者に盗み見られるリスクを大幅に下げられます。ユーザーは「送信しても大丈夫だ」と感じ、完了率が高まります。

3 検索エンジン評価の底上げ
検索エンジンはユーザー保護を重視し、HTTPSを推奨しています。ランキング要因としては軽微ですが、安全性の担保はクリック率向上にも寄与します。安全なサイトは余計な警告が出ないため、結果ページからの流入機会を損ないません。

3 HTTPS化が及ぼす副次的メリット

・ページ表示速度:多くのブラウザでHTTP/2(さらにHTTP/3)の利点を享受しやすくなり、
 画像やスクリプトの読み込みがスムーズになります。

・ブラウザ機能:安全なオリジン限定API(位置情報、通知など)が解放されます。

・SNSシェア:一部プラットフォームでのプレビュー崩れを防止します。

・速度や機能拡張は「体感できる快適さ」として、リピート来訪の下支えになります。

4 HTTPS導入の基本ステップ(要約)

ここでは「作業の全体像」を俯瞰できるよう簡潔に整理します。詳細なサーバー操作や画面キャプチャは割愛し、流れだけを確認しましょう。

・TLS(SSL/TLS)証明書を取得
レンタルサーバーの無料オプション、またはLet’s Encryptを活用します。

・証明書をサーバーに設定
cPanelや各社の管理パネルから数クリックで完了するケースが増えています。

・全ページをHTTPSへリダイレクト
.htaccessや管理画面の「常時SSL化」機能で301または308リダイレクトを一括設定します。

・混在コンテンツ(Mixed Content)を修正
画像・CSS・JSがHTTPのままだと安全表示にならない/読み込みがブロックされることがあります。URLをhttps://で置換します。必要に応じてCSP(upgrade-insecure-requests)も検討します。

・動作確認とキャッシュ削除
ブラウザのシークレットウィンドウで表示と安全表示(鍵アイコン等)をチェックし、キャッシュもクリアします。

5 HTTPS化を成功させる4ステップ

・コツ① 証明書の自動更新を必ず有効化
有効期限切れは「安全ではないサイト」と同義です。管理画面に自動更新機能がある場合は必ずオンにしておきます。

・コツ② サイトマップとSearch ConsoleのURLを更新
HTTPとHTTPSは別サイトとして扱われるため、https版のプロパティ追加(URLプレフィックスの場合)とサイトマップのhttps版再送信を行います(ドメインプロパティならhttp/httpsを包括しますが、サイトマップはhttpsで登録するのが確実です)。

・コツ③ 内部リンクをプロトコル相対にしない
//example.com形式は一見便利ですが、設定ミスが追いづらくなります。明示的に「https://」で統一すると管理がシンプルです。

・コツ④ 旧URLのブックマーク対策に案内用バナーを置く
古いリンクからの流入時にリダイレクトされても、ユーザーは戸惑いがちです。「サイトを安全化しました」という簡単な告知バナーを数週間掲示すると親切です。

6 HTTPS化後のユーザー体験を磨くチェックポイント

・鍵アイコン等の安全表示が常時出るか
→ ページごとの混在コンテンツを検出(サムネイル付きウィジェットのHTTP参照に注意)。

・フォーム完了ページのURL
→ 入力ページだけでなく完了ページもHTTPSかを確認(外部決済リダイレクト設定も点検)。

・SNS共有ボタン
→ シェア時のOGタグがHTTPSになっているか(プラグインのキャッシュ残存に注意)。

・計測ツール
→ アナリティクスや広告タグをHTTPSで読み込む(古い埋め込みコードの混在に注意)。

7 よくある質問

Q:無料証明書と有料証明書の違いは?
A:暗号強度は同等ですが、保証内容・サポート・サイトシール(ブランド認知)に差があります。ECやブランドサイトで安心感を強調したい場合は有料を検討してもよいでしょう。

Q:リダイレクトするとSEOに影響する?
A:適切なステータスコード(301/308)で恒久的リダイレクトを設定すれば、評価は引き継がれると公表されています。安全性の面も含めて、むしろプラス要素になり得ます。

Q:HTTPS化は一度で終わり?
A:終わりではありません。証明書更新や新コンテンツ追加時の混在チェックなど、保守が重要な継続タスクになります。

8 まとめ──小さな表示が大きな信頼を生む

HTTPSは専門用語ではなく、「サイトとユーザーを守る最低ライン」です。
安全表示ひとつで離脱を防ぎ、フォーム完了率を高め、検索エンジンからの評価も底上げできます。導入コストが下がった今、見送る理由はありません。

・鍵が付かない(安全表示がない)ページは警告と同義です
・導入は無料証明書+管理画面だけで完結する場合が多い
・保守と混在コンテンツのチェックを忘れない

まずは自分のサイトを開き、アドレスバーを見てみましょう。
安全表示が出ていなければ、今日のうちにサーバー管理画面を開く──それだけで離脱要因を一つ消す作業が完了します。安全な通信はユーザーへの思いやりであり、自社ブランドを守る盾でもあります。表示を整え、安心して閲覧・購入できる環境を用意しましょう。

HTTPS化は今や必須の施策ですが、正しく導入・運用するには専門的な知識が欠かせません。当社では、導入から保守・改善まで一貫して対応し、安心して任せられる環境づくりをお手伝いいたします。
「自社サイトも対応した方がいいのだろうか」とお考えでしたら、ぜひ一度ご相談ください。最適なプランをご提案させていただきます。

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