INDEX
1 はじめに:商品より先に「誰がつくっているのか」を見られる時代
BtoB でも BtoC でも、ユーザーは企業名より 「そこで働く人」 に安心感を覚えます。SNS で中の人アカウントが急増し、D2C ブランドが創業ストーリーを前面に押し出すのは、顔が見える=リスクが低い と感じてもらう最短ルートだからです。ところが多くの企業サイトでは、スタッフ紹介が「集合写真+役職+一言」のまま更新が止まり、せっかくの信頼資産を十分に活かしきれていません。本稿では、スタッフ紹介ページを “読み物” と “営業ツール” の二刀流に進化させる具体的な設計手順を解説します。
2 なぜ「顔の見える会社」が選ばれるのか──3つの効果
| 効果 | ユーザーの心理変化 | 事業への波及 |
|---|---|---|
| 安心感の醸成 | 実在する人物=責任の所在が明確 | 問い合わせ率 +8〜12% |
| 共感ストーリー | 経歴・価値観に共鳴しファン化 | リピート・LTV 向上 |
| 採用ブランディング | 採用ブランディング 働く人のリアルが伝わり応募動機に | 応募単価 −20〜30% |
“モノ” を差別化するのが難しくなった今、“ヒト” を軸にしたブランド体験が数字に直結します。
3 ページ設計5ステップ:構造から考える
ステップ1|目的の明確化
・顧客向け:導入後のサポート体制を見せたい
・採用向け:カルチャーフィットを訴求したい
目的で 掲載情報の深さ が変わる。両方狙う場合はタブやフィルターで文脈を切替。
ステップ2|レイアウトフレーム
1.グリッドカード一覧(写真+氏名+職種タグ)
2.個別プロフィールページ(詳細情報+コメント+SNSリンク)
3.共通CTA(「この人に質問する」「採用情報を見る」)
ステップ3|必須プロフィール項目
| 項目 | ねらい |
|---|---|
| 名前・役職 | 基本属性 |
| 専門分野タグ | 問い合わせ導線 |
| 一問一答Q&A(3つ) | パーソナリティ可視化 |
| 趣味写真1枚 | 親近感 |
ステップ4|更新フロー作成
・初稿入力 → 写真撮影 → リライト → 公開 → 四半期ごとに自動リマインド
・Notion や Google Workspace で 担当者列と次回チェック日 を持たせる。
ステップ5|社内巻き込み
・開日に Slack「#staff-release」でシェア → コメントを追記し二次UGCを誘導。
ミニヒント
・グリッドは 3列 × モバイル1列 が視線の流れを阻害しない黄金比
・CTA ボタン色はブランドカラーの補色で目線をリセット
4 写真&動画演出:止まった笑顔より“動く現場”
| 演出 | 実装ポイント | 期待効果 |
|---|---|---|
| バストアップ+目線 | 白背景より自然なボケ(背景)のオフィス | 信頼度 +10pt |
| 15 秒 Introduce 動画 | 同一テンプレで撮影、字幕入れ必須 | 滞在時間 +18% |
| 業務シーン GIF | キーボード打ち→ユーザー説明→笑顔 | 技術力アピール |
写真は 同じ構図・光量 で統一すると一覧性が上がり、ブランドカラーのオーバーレイを 20% 乗せると一体感が生まれます。

5 コピーライティング:3W1Hで“らしさ”を言語化
1.Who:どんなバックグラウンドか(学部・前職などカジュアルに)
2.Why:なぜこの会社を選んだか
3.What:どんなミッションを担い、どこに価値を感じているか
4.Hobby:休日の過ごし方・最近のマイブーム
合計 150 文字程度が読み切りやすい長さ。
例)「SaaS ベンダーで CS を5年経験。『顧客の声が製品に反映される』カルチャーに共感し入社。今はオンボーディング設計を担当。週末は3歳の娘とプラレールを組むのが最高のリフレッシュ。」
6 信頼を伸ばす2つの+αコンテンツ
・スタッフおすすめ記事リスト
プロフィール下に「この人の執筆/推薦記事」を3本表示し、回遊を促進。
・匿名質問フォーム
ユーザーがスタッフに直接質問でき、回答を Q&A としてストック。動的コンテンツ化で SEO にも強い。
7 効果測定:数字で変化を捉える KPI
| KPI | 目的 | 成功ライン | 改善アクション |
|---|---|---|---|
| プロフィールPV | プロフィールへの関心度 | サイトPVの10% | グリッド上位に新入社員を配置 |
| CTAクリック率 | 問い合わせ/採用誘導 | 5%以上 | ボタン文言を「◯◯に相談」に |
| 平均滞在時間 | 読了深度 | 75 秒以上 | 動画 or Q&A 追加 |
| 回遊率 | 他コンテンツ誘導 | +15% | おすすめ記事の内部リンク |
チェックポイント
・滞在が伸びても CTA が低い→ボタン位置をファーストビュー内に
・PV が伸びない→トップページや記事末に 顔写真付きリンクカード を設置
8 更新リマインダーで鮮度を保つ運用術
| タイミング | 内容 | 所要 |
|---|---|---|
| 四半期 | 写真差し替え・Q&A 2件追加 | 30 分/人 |
| 半期 | ミッション・担当領域更新 | 45 分/人 |
| 年次 | 個人目標→成果報告に書き換え | 60 分/人 |
Google カレンダーで 公開日の90/180/365日後に自動通知を設定し、対応ステータスを Notion ボードで可視化すると抜け漏れゼロ。
9 おわりに:顔が見えるだけでブランドは“体温”を得る
製品も価格も似通う市場で、最後の決め手は 「この会社を信じられるか」 です。スタッフ紹介ページはその決め手を担う “オンライン名刺”です。
1.目的を決めて構造設計
2.写真・動画でリアルを映し
3.3W1Hコピーでストーリーを語り
4.定期リマインドで鮮度を保つ
この4ステップを実装すれば、ページは読むだけの自己紹介から 顧客と応募者をひき寄せる磁石 へ。まずは1名分の動画追加と Q&A 更新から着手し、小さな数字の変化を確かめてみてください。きっと、サイトに “人の熱” が宿る瞬間を体感できるはずです。
「どうやって社員に協力をお願いすればいいの?」「忙しくて更新フローが作れない」など、具体的な運用でお困りのことがあれば、ぜひ私たちにご相談ください。企画から撮影、運用リマインドの仕組みづくりまで、貴社の「顔の見える化」をトータルでサポートいたします。親身になってお話をお伺いしますので、どうぞお気軽にご連絡ください。
商藝舎の視点
私たち自身も、この「顔の見える化」がもたらす効果を日々実感しています。Webサイトは無機質な情報ツールではなく、社員一人ひとりの想いが伝わるコミュニケーションの場です。この記事でご紹介したステップを通じて、ぜひ御社のサイトにも「温かい体温」を宿し、事業成長につなげていただければ嬉しく思います。


