
INDEX
1 はじめに:月イチ点検で“落とし穴”を先にふさぐ
サイトの成果が少しづつ落ちてくると、原因究明に時間を取られがちです。ですが、月に1回、1時間だけでも決まった観点で点検すれば、悪化の芽を早めに摘み取ることができます。やることは難しくなく、とてもシンプルです。
見る順番は「見つけられるか → 開ける速さ → 伝わるか → 迷わないか → 古くないか → 信頼できるか」この6点を定例で回すだけで、広告の前にできる改善がほぼ網羅できます。本記事では、各検査の着眼点と“ここだけは外さない”コツをまとめます。
2 見つけられるかの検査:検索と指名の反応
最初に確かめたいポイントは、発見されているかです。検索からの入口が弱ってしまうと、他の改善が見えにくくなります。ここでは直近30日とその前の30日を並べ、変化だけを拾いましょう。
見るポイント
• 検索クエリのCTR(クリック率):上位表示でもCTRが落ちていれば、タイトルと説明文の言い回しを見直します。ユーザーが知りたい語(価格、所要時間、地域名など)を1語入れるだけでCTRが改善することがあります。
• ブランド名の指名検索:店舗名・社名クエリの表示回数とCTR。ここが下がると認知や評判のサインです。トップの見出しやメタ情報が分かりにくくなっていないかを確認します。
• インデックスのエラー:不要ページが増えていないか、重要ページが除外されていないか。サイトマップの更新日もチェックしておくと安心です。
コツ
• タイトルは主語+具体性を意識。「法人向け」「最短当日」「無料」など、判断材料を1つ追加します。
• メタディスクリプションは1文+箇条書き1行程度に圧縮。長文でぼやかすより、対象とベネフィットをはっきり書くほうがCTRに効きます。
• 同じテーマのページが複数ある場合は、カニバリ解消(代表ページの決定・内部リンクの整理)を月1で進めます。

3 開ける速さの検査:表示速度は“無料の接客”
ページの表示が遅いだけで離脱と検索評価の両方に影響します。ここは数字を確認しましょう。核心は最大コンテンツ描画(LCP)・レイアウトのズレ(CLS)・操作の反応(INP)基準はおおむねLCP 2.5秒以下、CLS 0.1以下、INP 200ms以下が目安です。
見るポイント
• ヒーロー画像の重さ:1枚でページの半分以上のデータ量を占めることが多いです。WebP/AVIFの用意、サイズは100〜300KBを目標に。必要なら先読み(preload)を設定します。
• 不要スクリプト:ABテスト、チャット、タグの“入れっぱなしのリスクを確認します。使っていない計測は月イチで棚卸しすると軽くなります。
• フォント:ウェブフォントは必要な字重だけに絞り、遅延読み込みを検討します。見出しだけ画像にする運用は避け、テキスト+CSSで表現します。
コツ
• 画像は幅に応じた複数サイズを用意し(srcset)モバイルでPCサイズの大きな画像を配信していないか確認します。
• 下部の装飾画像やギャラリーは遅延読み込みにします。ファーストビューに関係ないものは、後で読み込んでも問題ありません。
• ページ速度はテンプレートごとに見ると効率的です。1枚直すと、同じレイアウトの全ページが改善します。
4 伝わるかの検査:ファーストビューとCTA
速く開いても、一目見て、何ができるサイトかが分からなければ次へ進んでもらえません。ここはヒーローエリア(最上部)だけを対象に、3要素が揃っているかを確認します。 (1)誰に、(2)何を、(3)次にどうする。この三点が5秒で伝われば合格です。
見るポイント
• ヘッドラインの語数:スマホで2行以内(9〜16文字/行)に収まっているか。
• 写真と文字の役割分担:写真が状況、文字が判断材料を伝えます。文字が背景に埋もれていないか、オーバーレイでコントラストを確保しているかを確認します。
• CTA(主ボタン)はひとつ:動詞+結果(例:無料で相談する/空き状況を確認)の形にします。副リンク(テキストリンク)は2つまでに抑えます。
コツ
• 不安を先回りする短文(例:「所要1分」「登録不要」)を添えるとクリックされやすくなります。
• ヘッドライン直下にCTAを置き、視線の移動距離を短くします。
• クリック率はヒーローエリア単位で測ると改善の手応えがつかみやすくなります。
5 迷わないかの検査:導線・フォーム・404
ユーザーが次の一歩を踏み外しやすい場所を月1で整えます。ここは行動の詰まりを探す作業を行います。
見るポイント
• 主要導線のクリック割合:トップや記事末に置いたリンクのうち、上位3つで全体の7割以上を占めているのが理想です。リンクが散らばりすぎていれば、数を減らすか表記を統一します。
• パンくず・戻る導線:カテゴリーページや一覧へ迷わず戻れるか。404ページに来た人に対してサイト内検索窓や人気リンクを用意しているかを確認します。
• フォームの離脱:須項目が多すぎないか、エラー文が日本語で具体的か、入力途中で内容が消えないかをチェックします。スマホではタップ領域を44px以上にし、数字入力欄は数字キーボードが出るようにします。
コツ
• 「確認画面」「戻る」「下書き保存」などやり直せる安心を置くと、完了率が上がります。
• 予約や購入の最終画面では、追加購入や次回予約への導線を1つだけ。やりすぎると完了が遅れます。
• 404は“お詫びだけ”で終わらせず、サイト内検索へ自然に誘導します。
6 古くないかの検査:価格・在庫・営業時間・リンク
情報の古さは信頼を損ないます。月末か月初のルーティンとして常に確認を行いましょう。
見るポイント
• 価格・送料・キャンペーン期限:値上げや終了日がバナーや記事本文に残っていないか。期間が過ぎたらバナーを取り下げるか、CTAを資料請求などに変更します。
• 営業時間・アクセス:祝日や営業時間の変更が反映されているか。Googleビジネスプロフィールなど外部にも反映させます。
• リンク切れ・外部サイト:内部リンクの死リンクやリダイレクトをSearch Consoleやクローラーで洗い出し、主要導線から順に修正します。外部ECへのリンクは先方のURLが変更になっていないかも確認します。
• 重複コンテンツ:古いテーマの記事が増えたら統合やリダイレクトを検討します。代表ページにまとめ、内部リンクで誘導します。
コツ
• 記事やLPの冒頭または末尾に最終更新日を表示し、更新のたびに日付を触れるだけでも印象が変わります。
• 季節ページは来期用のメモ(見直す点や反応が良かった見出し)を残しておくと次回の更新が早くなります。

7 信頼の検査:SSL・表記・レビュー・安全性(+運用の回し方)
最後は安心して利用できるかの確認です。見た目の良さも重要ですが、表示・表記・安全性の基本を固めることも大切です。
見るポイント
• 常時SSL:錠のアイコンが出ているか、混在コンテンツ(httpの画像やスクリプト)が混ざっていないかを確認します。
• 法的表記と連絡先:会社概要・特定商取引法に基づく表記・プライバシーポリシー・問い合わせ先がきちんと掲載されているか。リンクだけでなくページ内に明記します。
レビューと実績の出し方:個人情報や過度な演出は避け、出典や掲載許可を明示します。古すぎる実績ばかりが並んでいないかもチェックします。
• スパム対策:フォームにはボット対策を施し、ログイン画面では強いパスワードを促します。
• バックアップ/権限:CMSの更新とプラグインの互換性を確認し、不要なユーザーは削除します。ここは月1回の定期作業とすることで事故が減ります。
コツ
• 点検は1時間ブロックでカレンダーに固定し、担当と締切を決めておくと進めやすくなります。
• 修正項目は重要度(高・中・低)×工数(S/M/L)でラベリングし、高×Sのものから着手すると成果が早いです。
• 毎月スクリーンショットを保存しておくと、改善前後の比較がしやすく、社内説明も短時間で済みます。
まとめ:月1の小さな整備が、積み上がる
派手な施策を打たなくても、月1回の健康診断でサイトは十分に強くなります。
1)見つけられるのか、2)速いか、3)伝わるか、4)迷わないか、5)古くないか、6)信頼できるか
この順番で見れば、漏れはほぼありません。すべてを完璧にしようとせず、毎月1〜2個の改善を確実に終わらせていくだけで指名検索や直帰、CVRの数字に小さな変化が現れます。
次の更新日、1時間だけ時間をブロックして、ここに書いた順で点検してみてください。無理のない運用で、こつこつと効果が出てくるはずです。


