COLUMN

LPが長過ぎる?スクロールマップで判明した最適セクション配分―― “最後まで読まれない悩み” をデータで解決するレイアウト改善術

1 はじめに:LP の長さ論争に終止符を

「まるで大学のレポートみたい」「モバイルで指が疲れる」——ランディングページ(以下 LP)の長さに対するツッコミは絶えません。しかし “短ければCVRが高い” という単純な相関は存在しない のが実態です。要は 読者の期待が途切れた地点を正確に捉え、情報量を再配分できるか。そこで威力を発揮するのが スクロールマップ です。本記事では、スクロールデータから導いた 最適セクション配分 と 改善フロー をケーススタディ付きで解説します。

2 スクロールマップで見える“3つの崖”

100サイト超の計測で判明した、ユーザーが離脱しやすい3ポイント。

位置(モバイル表示)主な原因チェックリスト
① ヒーロー下崖1スクロール目ファーストビューと次要素の温度差見出し→証拠画像の連続性
② 社会的証明崖ページ中腹(30〜40%)ロゴ羅列だけでストーリーが止まる実績→メリットの物語化
③ CTA 前崖下部 70% 付近ボタンまでに要素詰め込みすぎ“結論CTA→補足FAQ” 順への並び替え

Insight

テキスト量より 「セクション切替の速度」 が崖発生に直結。テンポが落ちるポイントを可視化しましょう。

3 データで証明:最適配分は 4:3:2:1 の法則

スクロール完読率と CVR を重回帰分析した結果、“セクション高さ” を「上段:中段:下段:末尾=4:3:2:1」に近づけた LP が平均 CVR +17%。要は 必要な情報ほど上段に密集させ、末尾に行くほど圧縮 する設計です。

セクション例(SaaS LP の場合)

4割:価値提案+キービジュアル+一次CTA

3割:ペイン→解決策の流れ+機能ダイジェスト

2割:証拠(事例・データ)+二次CTA

1割:FAQ+リスク除去コピー+フッターCTA

4 改善フロー:スクロールデータを“レイアウト再構成”へ落とし込む5ステップ

ステップやることツール/所要
① 測定Hotjar・Microsoft Clarity で 1,000 セッション収集3日〜1週間
② 崖特定完読率 <25% の地点を付箋で洗い出し30分
③ 仮説崖前後の要素を「情報量・テンポ・視覚負荷」で評価1時間
④ 再配分4:3:2:1 を目安にブロック移動or圧縮1日
⑤ 検証ABテストで CVR・スクロール率を比較2週間

コツ

全体を削るより “崖の直前にある1ブロックだけ” をまず修正すると因果が見えやすい。

5 ケーススタディ:配分リデザインでCVR+22%

背景

・D2Cコスメブランド/LP長さ 9,200px/CVR 1.3%
・スクロールマップで 中腹の「雑誌掲載ロゴ帯」で到達率が 42% → 18% に急落

施策

1) ロゴ帯を 2,400px→1,000px に圧縮し、上部に移動
2) 代わりに SNS口コミカード をロゴ帯跡地へ配置
3) 二次CTA をロゴ帯直下に新設

結果

指標BeforeAfter
ページ40%地点到達率18%41%
コンバージョン率1.3%1.59%(+22%)
平均滞在時間63秒72秒

6 実装レシピ:ノーコードでもできる計測&改善ツール3選

ツール特長料金
Hotjarスクロール・クリック・フィードバック統合月$39〜
Microsoft Clarity完全無料/AIで異常セッション抽出無料
Crazy EggABテストとヒートマップ一体型月$29〜

コツ

GA4 と連携し、UTM パラメータ別 のスクロール差を分析すると広告LPの最適化が加速。
モバイルファースト必須。同じ長さでもPCとモバイルでは崖位置が異なる点に注意。

7 おわりに:長さを減らすより“配分を整える”

LP 改善は 「削る or 足す」ではなく「並べ替える」 が先。

1) 二次CTA をロゴ帯直下に新設スクロールマップで崖を可視化
2) 4:3:2:1 の配分 で情報を再設計
3) 1ブロック単位の ABテスト で確かな伸びを積み上げる

これだけで 読了率もCVRも二桁改善 が狙えます。

「計測の導入が難しい」「セクション移動の工数が足りない」 と感じたら、データ取得からワイヤーフレーム作成まで伴走サポートいたします。お気軽にご相談ください。
“長い”を言い訳にしないLPへ——スクロールデータを味方に、最適なストーリー配分を実現しましょう!

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