
経営合宿、話は深く、夜も長く
今回は役員だけでの経営合宿。
テーマは「今後5年の戦略方針」──つまり、会社の“これから”をどうつくっていくか。
数字の話、組織の話、そして価値観の話。
一つひとつ掘り下げていくうちに、自然と夜は更けていった。
正直、頭も心も使い切った。
ただ、合宿にはもう一つの目的があった。
「翌朝は円山に登る」。
これは、最初から決まっていた。

眠気と筋肉痛予備軍を抱えて、出発
朝7時前。札幌の空気はひんやりしていて、まだ少し眠い。
標高225メートル、道のり2〜3キロ。
登山というより、運動不足の大人たちにはちょうどいい現実逃避。
歩き始めると、すぐに足が温まってきた。
鳥の声、土の匂い、木漏れ日。
前夜の議論でパンパンだった頭が、少しずつリセットされていく。
「これ、脳のデトックスですね」
誰かがそう言って笑う。たぶん一番的確な感想だった。

エゾリス登場で、全員テンションMAX
中腹あたりで、突然現れたのがエゾリス。
どんぐりをくわえて、すばしっこく走り去る姿に全員が反応する。
「おおっ、いた!」
「円山の主じゃないですか?」
昨日の会議では見られなかったスピード感でカメラが構えられる。
この瞬間だけは、合宿の疲れも忘れていた。

登ってわかったこと
頂上に着くと、札幌の街が一望できた。
汗ばんだ額に風が当たって気持ちいい。
ふと、「経営も登山と同じだな」と思う。
登り方は人それぞれ。
でも、頂上を目指す気持ちは同じ。
どんなルートでも、誰と登るかで景色の見え方が変わる。
下山の途中、「次はもう少し高い山でもいいか」と誰かが言った。
その言葉が、妙にリアルだった。
登山も経営も、きっとそんなものだ。
終わったあとに「次はもう少し上を」と自然に思えるくらいが、ちょうどいい。

writer
代表取締役 吉本 拡


